FAカップのタイトルをかけた両指揮官の守備戦略【マンチェスター・ユナイテッド対チェルシー】

今季最終戦となった両チーム。勝ってシーズンを締めくくりたいところ。選手入場時に監督が先導するなどFAカップファイナルが特別な試合であることがわかるように今季初タイトルに向けて激しい試合になると期待できる試合だった。

モウリーニョとコンテ共に守備戦術に定評がある監督なので守備システムの構造に焦点を当てて解説していきたい。

<スターティングメンバー>

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<試合結果>

マンチェスター・ユナイテッド0ー1チェルシー

 22:アザール

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チェルシーの可変ディフェンス

コンテチェルシーと言えばイタリアを彷彿とさせる5-3-2のディフェンスシステム。そして、5-3-2の泣き所は中盤3の脇のスペースである。この試合ではユナイテッドもそのスペースがPAへの入り口になることはわかっているので何度もボールを引き出そうとする。

泣き所を突いてくるユナイテッドのオフェンスに対して、チェルシーは5-3-2から4-4-2への可変ディフェンスで対応していた。

ボールサイドのWBがボールホルダーに前を向かせんないよう激しくプレスをかけ、その裏のスペースは近い方のHVがケアをする。そして、逆サイドのWBはディフェンスラインに留まり4バックのSBと化するイメージ。逆サイドにボールを振られればWBがピストンをし、同じことの繰り返し。

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ただ、このディフェンスシステムはアザールのPKによる先制以降は何故か無くなってしまう。WBが守備ラインから飛び出し、ボールホルダーにアタックするのではなく、代わりに中盤の3の端の選手が主に脇のスペースをカバーするようにシステム変更された。

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そのシステム変更により、ユナイテッドは序盤よりもボールホルダーが自由にパスを散らせるようになり、チェルシーは完全に押し込まれる形となってしまう。

この1連の流れが17-18シーズンのチェルシーの欠点が象徴されているように見えた。先制するまでは5-3-2と4-4-2の可変システムで上手く守り、カウンターで先制に成功したとしても、その後、受け身になってしまい取りこぼす試合が多かったのだ。シーズン中に修正できなかったこの欠点を来季に向けて修正することが急務だろう(監督変わるらしいけど)。

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ユナイテッドのゾーンとマンマークの併用

チェルシーに比べて前線からハイプレスをかけに来ていたユナイテッド。ルカクをスタメンから外したわけの1つは、ハイプレスからショートカウンターを狙う意図があったように見受けられた。

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モウリーニョお得意の相手チームのキーマンにマンツーを付けるマンマークとゾーンディフェンスの併用。特にアザールにはエレーラをしっかりマークに付けていた。これは前回対戦でも同様に行っていたため既視感がすごかった。さらに、カンテにはリンガード。3バックに対してはサンチェスとラッシュフォードの2トップをあてる形。

しかし、チェルシーのディフェンスラインは無理にボールを細かくパスを回さない。前線にハイボールを預けるシーンが多かったため、なかなかショートカウンターが成功せず、得点に繋げることはできなかった。

 流石のプレーだったアザール

おわりに

17-18シーズンのFAカップのタイトルはチェルシーの手に渡り、18-19シーズンのコミュニティーシールドはマンチェスターシティ対チェルシーとなった。チェルシーはコンテ監督の退任が確実と言われる中、来季どの監督が就任するのか楽しみだ。イングランドの17-18シーズンが全試合終わり、マンチェスターシティの圧倒的強さが目立ったが、このチームを止めるチームが現れるだろうか。

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