シティのビルドアップとナポリのハイプレス【マンチェスターシティ対ナポリ】
<両チームのスタメン>
*スターリング10番になってますが7番です*
<試合結果>
マンチェスターシティ2ー1ナポリ
9:スターリング 13:ジェズス 73:ディアワラ
シティのビルドアップとナポリのハイプレス
いつも通りシティはキーパーから丁寧にボールを繋いでビルドアップをしていく。それに対し、ナポリは前線から積極的にプレスをかけていた。シティは左SBにデルフを起用した試合には、この選手がアンカー脇にポジションをとることが多かった。この試合でもナポリのプレス回避の重要な役割をしていたのがこのデルフである。
シティの最終ラインにいる4人の中でデルフが1番穴であり、狙いどころでもあるためナポリの前線3人(24、14、7)はデルフ以外の最終ライン3人にプレスをかけるのは予想ができ、その通りだった。そして、必然的にフリーになるデルフはサイドに張っているのではなくアンカー(フェルナンジーニョ)脇にポジションをとっていた。このポジショニングによってキーパーからのプレス回避のパスコースが中央にでき、さらにアンカー(フェルナンジーニョ)をマークしていた17番(ハムシク)がデルフにつられることで、最も重要な役割を担うアンカー(フェルナンジーニョ)をフリーにする効果もあった。
そして、デルフのポジショニングによって左IH(インサイドハーフ)の21番シルバがサイドにひらくことでキーパーからのパスコースも確保することができる。右IHのデブライネもサイドにひらいていたが左サイドとは違って、右SBにプレスをかけているナポリの24番がいるのでパスが通ったとしても囲まれる確率が高い。なので、試合ではキーパーから右サイドへのパスはほとんどなかった。あと、キーパーのエデルソンが左利きであることも影響しているだろう。
だとしたら、サイドにひらいたシルバとデブライネをマークをしている20番と42番がこの2人を潰せばいいと考える人もいるかもしれないが、サイドまでおってしまうと中央がガラガラになるため、リスクが大きすぎるのでサイドまでおうことはできない。わかりやすい例がCL1戦目のフェイエノールトである。ボランチの2人がIHのシルバとデブライネに釣られすぎて中盤がガラガラになってシティの餌食になった試合である。
そして、このポジショナルプレーが最適解であるということを理解するには、デルフがアンカー脇ではなくサイドにポジションをとった場合を考えればいい。上記で述べたようにデルフには基本的にマークする選手はいない。なので、サイドにはっていればデルフへのパスコースは確保できるのは当然である。しかし、他のパスコースが見当たらずプレス回避の選択肢は1つしかないので手詰まりになるのは誰でも予想できる。
ナポリのペナルティエリア内での守備戦術を破壊した1点目
ゴールまでの簡単な流れをいうとナポリのハイプレスを掻い潜り、シティが相手陣地まで押し込んでいたところから。フェルナンジーニョからサネへのロングパス→シルバのチャンネルランにサネがスルーパス→シルバのクロスにウォーカーがあわせる→こぼれ球をスターリングが押し込む。という流れだった。
ここでナポリのクロスに対する守備戦術を述べておきたい。その戦術というのがクロスに対して、PA(ペナルティエリア)内では◇を作るというもの。リーグ戦を見ていると必ずと言っていいぐらいこの形で対処している。◇を作ることでニアサイド、ファーサイド、マイナスのクロスにも対応することができ、ナポリの一つの守備戦術が好調を支えているのだろう。
しかし、シティの1点目のシーンでは◇の形を作れていなかった。この原因となったのがウォーカーのSBからゴール前へのランである。この動きによってマイナスクロスをケアするCBを釘付けにすることができ、ゴールに繋げることができた。
おわりに
シティはこの試合の勝利でグループリーグ3連勝。グループリーグ突破は確実となった。後半はナポリ優勢の時間帯が多くなり、同点に追いつかれてもおかしくなかったがシティは逃げることができたのは大きかった。戦術家監督同士の対戦で楽しみにしていた試合の一つで期待を裏切られず楽しめた試合だったが、この試合の時間がバイトと被っていてバイト中に見ることになったのは、残念だった。