良い敗戦に!この敗戦から日本は何を学ぶのか【日本対カタール】
<スターティングメンバー>
<試合結果>
日本1ー3カタール
前半
日本の守備の問題点
日本はこれまでの試合と同様、大迫と南野が横並びの4-4-2の守備陣形。前線から積極的にプレスするため4-2-4のような時間帯もあり、中盤にスペースを与えることも多々。この弱点をこの試合では的確に狙われてしまった。どこが問題だったのか解説していく。
カタールはボール保持時、3-1-4-2の配置。日本の守備陣形との噛み合わせが以下のとおりだ。
問題点は明らかだろう。3バック+1アンカーのカタールに対して日本は2トップで対応するため、常にアンカーの23番が浮いている状況が生まれていた。それにより簡単に大迫と南野のファーストラインを突破されてしまっていたのだ。
人数を合わせるためにWGの原口が15番にアタックするシーンも観られたが、常に遅れてプレスにいくのですその後ろの長友、塩谷、柴崎も遅れる。常に日本の守備が後手に回っていたのは明確だった。
また、カタールの選手の配置が的確で最終ラインからのパスコースが多くデザインされ、柴崎が浮いているアンカーの23番をマークに行けばもう1ライン前の11番があくことが上図からわかるだろう。
このようにしっかり狙いを持ってポジショニングしていたカタールに日本はお手上げだった。
カタールの5-3-2ブロックと攻略法
序盤の日本は上図で示すとおり、サイドの深いスペースを利用しようと堂安が内から外に抜ける動きで酒井からパスを引き出していた。この攻めのメリットは中央のCBをサイドへ追い出しPA内の相手の守備人数を減らせるところにある。だが、このメリットは4バックの相手に対しては有効であるが、5バックのカタールに対しては有効な手段ではなかったのだ。
ここからカタールの守備の特徴と弱点、日本はどのような攻めをするべきだったのか解説していきたい。
カタールの守備は3センターの両端がSBまでプレスに行くため体力的な負担が大きい。
そのためサイドチェンジを行いながら3センターを揺さぶりながら、スライドが遅れたところで中盤のスペースを活用して攻めるのが理想だった。下図だと赤のスペースを狙いたい。
その赤のスペースに大迫がレイオフ。15番の迎撃守備により空いた裏のスペースにダイアゴナルランで入って狙いたい。
また、原口のランに反応した②が空けたところに長友がオーバーラップで攻め上がる攻めも考えられるだろう。
後半
日本の守備の改善
前述でアンカーの23番が常に浮いていることを指摘したが、後半からその改善が観られた。アンカーに南野がマークし、相手の3バックに対しては下図のような対応していた。
このくらいの改善であれば序盤の10分くらいで可能にしなければいけないし、相手への対策が疎かだということが露骨に現れていた。
5-4-1と5-3-2を切り替えるカタール
前半に対して後半は日本が攻め込む時間帯が多かった印象が強い人が多いだろう。そのわけは、カタールが守備時の陣形を5-3-2から5-4-1に変えた影響である。
上図のように2トップから1トップに変えたため日本が1トップ脇の後方で安定してボールを保持、ネガトラ時の回収が安定するようになった。
なのになぜカタールは5-4-1変えたのか。それは前述で解説したとおり3センターだと横のスライドの距離が長いため体力面で負担が大きい。それを考慮しての4センターなのだ。
またカタールは後半の途中に5-3-2に切り替え、再び5-4-1に戻している。日本に比べて体力面も含めて試合に合わせたゲームプランの修正、交代が早く、理にかなっていた。
おわりに
選手の質ではアジアで飛び抜けている現状。なのに優勝できなかった。決勝の相手のカタールも個々の能力では絶対に日本は負けないが、ゲームプランの質でひっくり返されてしまった。この問題を重く受け止め、これからの日本のサッカーの発展のいい教訓になればいいだろう。
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