ポルトガルの異様な4-4-2ブロックのわけ【スペイン対ポルトガル】
ロシアW杯開幕前にロペテギ監督が電撃解任され、フェルナンドイエロを監督に据え初戦を迎えたスペイン代表。いきなりEURO2016の王者ポルトガルとのイベリアダービーのビッグマッチ。注目度の高い対戦となったが初戦ということもあり落ち着いた試合になることも予想できる。
<両チームのフォーメーション>
<試合結果>
スペイン3ー3ポルトガル
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前半
ポルトガルの異様な4−4−2ブロック
試合序盤はポルトガルがボールを持てる時間帯が多くその流れで先制点を取ることに成功。ロナウドの最初の仕掛けでナチョのファールを誘いPKでのゴールである。
その後スペインがボールを保持する時間が続き決定機も少なからずあった。
ただ、スペイン優位に進んでいるように見えた試合もポルトガルはカウンターのチャンスを得点に結びつけるための策を打っていた。
その策があって異様な4-4-2ブロックを生み出していたのである。
上の1シーンを見ると4-4-2の「2」がかなり左寄りに見える。ロナウドが左サイド寄りに構えた守備をしているためである。その要因にポルトガルがカウンター時にスピードに難があるナチョ、ピケの左サイドをロナウドのスピードで突きたいという狙いがあったからだろう。
左サイドユニット+シルバで打開を
前半のスペインは左サイドを軸として攻撃を仕掛けていた。特にイニエスタ、イスコ、アルバのユニットによる攻めは魅力的なものであり戦術的にレベルの高いものであった。
さらに、少し攻撃リズムが落ちたとなればシルバがその左サイドまで流れアクセントを加えていた。
特にレベルの高い攻めであった前半25分のシーンを紹介したい。
左サイドユニット(イニエスタ、イスコ、アルバ)で決定機演出 pic.twitter.com/Mm0jWvv87u
— 3バックには夢がある (@tactics9320) 2018年6月16日
イニエスタのIH落ちから始まった攻撃。
左サイドのユニットでトライアングル形成したところからイスコがスペースに降りてくる。
パスを受けたイスコがボールを運んでサイドに張るアルバにボールを預けるのだが、この後のイスコの動きに注目してほしい。
イスコはチャンネルラン決行をしフリーラン。それによりポルトガルの最終ラインは下がるざるをえない。だか、アルバは後方で待つイニエスタにボールを預ける。
そしてアルバは1つ前のイスコのプレーと同様にチャンネルランを決行する。イスコによって下げられた最終ラインをポルトガルは上げようするのでより裏を取りやすくなり、出してのイニエスタは大きなスペースを得ることができている。
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後半
ロナウド脇を使いたいスペイン
前半でロナウドのカウンターがかなり脅威となっていたためスペインは後半開始からはロナウドがいるサイドを攻撃の軸としていた。上のシーンであればイスコが右サイドに流れてくることでロナウドの脇、裏ののスペースを有効に活用。
試合では紹介した上のシーンがスペインの2点目となるFK獲得の起点となるためしっかり結果に結びつけることにも成功したことがわかる。スペインがロナウドがいるサイドから攻めるためロナウドと2トップを組んでいたゲデスと並びを逆にするなどし対処していた。
クアレスマ対ロナウド
後半24分にポルトガルはベルナルドシウバに変えてクアレスマを投入。わざわざ言う必要もないと思うが、クアレスマと言えばみんな大好きアウトサイドキックである。クアレスマが出てきた時点で観客の注目はそのキック。
そしてその期待を裏切らない、さすがわかっている選手である。クアレスマのアウトサイドキックが発動されたあたりからスタジアムも盛り上がりポルトガルのペースになっていたのも事実であった。ここからは主役だと言わんばかりのクアレスマであり、ロナウドの影に隠れて代表で主役になることができなかった選手がこの試合の試合の主役になるかという期待もあった。だが、結果はやはり最終的に劇的FKを決め主役になったのはロナウドであり、この試合もクアレスマはロナウドに勝てなかった。
ポルトガルの次戦からはクアレスマ対ロナウドという視点で見てみるのも面白いかもしれない。
おわりに
前回大会のブラジルW杯ではFKが3本しか決まらなかったが、既に2本決まっている。今大会では摩擦の多いボールが使われていることが影響しているのだろう。特に決勝トーナメントが始まるとPA付近でのFKの獲得、FKを決められる選手がいるかがポイントとなっていくに違いない。