IHが生命線【日本対ハイチ】
<両チームのスタメン>
<試合結果>
日本3-3ハイチ
アンカーの両脇のスペース
日本のフォーメーションは4-1-2-3なので守備時にポイントとなるのがアンカーの両脇のスペースである。このスペースをどのように埋めるのかが勝負の分かれ目になるのは間違いない。実際、ハイチの1点目と3点目はアンカー脇を突いてのゴールだった。
1点目のシーン。アンカーの遠藤がボールを持っている選手に寄せたため中盤が空いている。セオリーであれば空いたスペースをIHの選手が埋めるべきだが、小林は遅れてしまい見事に通され失点してしまう。
3点目のシーンはスーパーゴールで仕方ないゴールに見えるが、起点となったのはFWのポストプレーからアンカー脇で繋がれてからのゴールだった。
この試合のインサイドハーフ(IH)の小林と倉田は守備が得意な選手ではないため、守備時のポジショニングが良くなかった。さらに、2人が同時に守るスペースを放棄して両ボランチを潰しに行くが簡単に前を向かせてしまっていて、楔のパスを入れられてしまっていた。象徴的なシーンが前半の10分。
倉田がボールを持っている選手にプレスをかけに行っているのがわかる。そして小林も高めにポジションを取っていて、アンカー脇にスペースがある。ここで倉田がしっかりプレスをかけて前を向かせなければよかったが、簡単に前を向かれてしまう。
アンカー脇のスペースが空いたまま前を向かれてしまい、ハイチの選手がパスを受けに下りてくる。
パスを受けた選手が前を向くスピードが遅く、パスの精度が悪かったためピンチにはならなかったものの、ブラジル、ベルギーであれば決定機に繋げていただろう。そうすると、やはりIHには守備ができるという前提の選手でないとこのシステムは機能しないため、第一候補が山口と井手口であることは納得できる。
小林の攻撃センス
守備時のポジショニングがイマイチな小林だが攻撃時のポジショニングは良かった。最終ラインで組み立てのサポートをしながら前にラン、間でボールを引き出し、そしてラストパスまでしていた。間で常にボールを受けるようにポジションを取り、周りの選手に気を配れていたので好印象。前半13分のシーン。
青丸の選手が小林である。乾が下りてきたので、最終ラインでボールを繋いでいた小林が前線にスペースを見つけるとラン。スペースに入りボールを引き出す。
ダイアゴナルランで裏抜けしている長友に合わせるようにワンテンポずらしスペースにラストパスを出した。
現在のプレースタイルで小林が日本代表のスタメンに入ることは厳しいが、クラブでは早くレベルの高いチームに移籍してプレーしているところを見たい。ボルシアMG、ドルトムント、ホッフェンハイムあたりに行けると面白そう。
攻撃が活性化する乾のサイド
フル出場を果たした乾はフォーメーション上では、左のWGだったが浅野とサイドを変えながら右WGになることもあった。しかし、乾はサイドに大きくひらくというよりはハーフスペースあたりにポジションを取っていた。それによりSBのオーバーラップも活用することができ、トップの杉本、大迫との連携も見れ、チャンスに繋がるシーンは乾が絡んでいることが多かった。乾のスタメンは当確。
カンテになれる井手口
倉田に変わって途中から出場した井手口。オーストラリア戦で衝撃的なゴールを決めたこの選手は、一気に日本代表のIHのスタメンに近づいていた。攻守において質の高いプレーをでき、若くてスタミナもある。この試合は途中出場だったが攻守で存分に特徴を出してくれた。
攻撃においては、右WGの浅野が少しポジションを下げた時に相手SBがそれに釣られると、SBがあけたスペースにランでパスを引き出しクロスまでもっていった。いわゆる偽インサイドハーフ。カンテがよく見られるプレーである。
偽インサイドハーフの動きは↓の記事に。
守備においては、アンカーの遠藤が釣り出されたときのカバーを当たり前のようにしていて地味なプレーでもかなり守備陣を助けていた。
↑青丸が遠藤、緑丸が井手口
遠藤が釣り出されたところで井手口が横からプレスをかけにきている。
そして、簡単にボール奪取してみせた。
スタメンの小林と倉田では、見られなかったプレーである。アンカーが長谷部であればこれほど簡単に釣り出され剥がされることはないと思いたいが、井手口の必要性がわかりやすい場面であった。
おわりに
日本代表の次の試合はブラジル戦。どんなメンバーで挑むのだろうか。個人的な
希望は、右のWGに武藤、IHには井手口は起用してほしい。フォーメーションだとこんな感じ↓
ブラジル、ベルギーとの試合が1ヶ月後、どんな内容になるのか楽しみだ。