偽サイドバックとラポルテ不在の影響【ノリッジシティ対マンチェスターシティ】

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<スターティングメンバー>

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<試合結果>

ノリッジ3-2マンチェスターシティ

18′マクレーン 28′カントウェル 45′アグエロ 50′プッキ 88′ロドリ 

 

昨季のチャンピオンシップ王者がプレミア2連覇中の絶対王者マンチェスターシティをホームに迎えた注目の一戦。開幕から若手中心に積極果敢なフットボールでプレミアをより一層盛り上げているノリッジに対し、プレミア王者はいつものように試合を支配。だが、ラポルテ不在が攻守において大きく影響した試合となった。

ゾーン2→3の攻防

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ゾーン2とは上図のようにフィールドを3分割し、自陣から2つ目のゾーンのこと、3つ目がファイナルサードともよく言われるゾーン3のこと。

ノリッジは試合開始数分は相手陣地まで積極的にプレスをかけていた。だが、それは続かず試合通してゾーン2までの前進は許し、そこからゾーン3までの攻防が見どころとなっていた。

ノリッジの守備と穴

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ノリッジは4-4-1-1でブロックを形成し、トップ下のシュティパーマンがアンカー要のロドリをマーク、プッキが2トップをケアする形。中盤から最終ラインはマンマーク意識が高く、時にはポジションを大きく離れてマークに行く場面も。この勇敢な守備が開幕リバポ戦では裏目に出たが、この試合ではゴールを演出し結果的に吉と出ることになった。

そんなノリッジの守備の1番の穴はチャンネル(SB-CB間)が広がってしまいスペースを与えてしまうところだ。

リバプールにはチャンネルを狙われ大量失点することになる。以下の動画がその失点シーンの1つだ。

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事故のような得点ではあるがSB-CB間が空き中盤がカバー仕切れなかった結果、ゴールに結びついている。

そして、このようなノリッジの守備の穴を攻略できるかがこの試合の大きなポイントで、シティの1点目以外のシーンではそのようなシーンが少なく決定機を多く演出することができなかった。このわけをこの後解説していく。

 

効果的だった偽SB

毎試合シティのボール回しの潤滑油となっている偽SBの動き。相手の配置によっては効果的でない試合もあるが、ノリッジのSHに2つの選択肢を与える面でかなり有効だった。それをまとめたのが下図だ。

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オタメンディがボールを持った時点でジンチェンコが内に移動することで、ブエンディアは本来マークすべきジンチェンコをケアするか、サイドでの1対1を消すためにSBのサポートに行くか、この2つの選択肢を与えられる。序盤の運動量がある時間帯は前へのスライドでジンチェンコをケアすることが多かったが、疲れが溜まるにつれて引き気味になりチームとしても下がる時間帯が続きゾーン3まで押し込まれる時間も長くなった。

ラポルテ不在の影響

解説した通り、偽SBはノリッジに対して効果的だったことは間違いない。では、なぜシティは仕留めきることが出来なかったのか。その答えの1つはラポルテ不在の影響である。絶対的左CBのレギュラーとしてシティを支えていたラポルテがいなくなったことで、後方からボールを散らす選手がいなくなった。縦パスが少なくなり横パスが増えたことでパスをノリッジに狙われロストからカウンターまで運ばれるシーンもいくつかあった。その象徴的なシーンが下図だ。

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ジンチェンコの偽SBにより左ワイドでフリーになっているスターリングに対し、オタメンディからパスが通れば完全な1対1の状況。ラポルテであれば左足で綺麗なパスを通せると想像できるが、この試合ここからパスが出てこない。このくらいの中長距離のパスが極端に少なかったこと、精度が低かったことで攻撃のスイッチが入らずノリッジも守りやすかっただろう。

これが、前述で述べたノリッジの守備の穴。チャンネルをなぜ攻略できなかったのかにも繋がる。

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縦へのパスが少なく速攻が少ないことで、上図のようにゾーン3では常にボランチがチャンネルをケアしハーフスペースを使わせないブロックを形成できていたノリッジがうまく守れているように見えた試合だった。

 

おわりに

それぞれの選手が中長距離のパスを嫌がったのも代表戦でコンディションが悪いと自覚していたこともあっただろう。今週からミッドウィーク開催のCLも始まるのでよりコンディション調整が難しくなる中首位リバプールに食らいついていけるか注目だ。また、ノリッジがホームのこの試合ではファルケに軍配が上がったが、プレミア王者がエティハドにノリッジを迎える両チームの次の対戦はより注目度の高い試合となるだろう。

 

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