シティを苦しめた能動的5-4-1ブロック【シャルケ対マンチェスターシティ】

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<スターティングメンバー>

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<試合結果>

シャルケ2ー3マンチェスターシティ

 

フェルナンジーニョの偽CB

今季からシティの新しい戦術の選択肢としてペップが導入したフェルナンジーニョの偽センターバック。守備時には4バックの右CBとして振る舞い、ボール保持時はボールの位置によってポジションを上下させる戦術だ。そのフェルナンジーニョの偽CBがどのような動きなのか解説する。

ボールがゾーン1にある場合

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フェルナンジーニョは守備時と同様に4バックの右CBとしてビルドアップに関わっていく。

ボールがゾーン2にある場合

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ゾーン1からビルドアップをし、ゾーン2までボールを運ぶことができればフェルナンジーニョは最終ラインから1列前に上がりギュンドアンとの2ボランチを形成。この動きのことを偽CBと呼ぶ。これによって最終ラインは3バックになりこの形で攻撃を組み立てていく。

 

この戦術をペップが採用したのはボール保持する時間が圧倒的に多くなり、相手のセット攻撃での崩しに脅威がないと判断したためだろう。と言うのもフェルナンジーニョの偽CBを採用しない他の試合でもゾーン2で3バックを形成するのがほとんど。相手にボールを持たれた時にフェルナンジーニョがCBで問題になるかどうかがペップにとってこの戦術を採用するかの判断基準となっていると思われる。

 

能動的5-4-1ブロック

この記事の本題はここから。一時は逆転に成功、90分間通してシティを苦しめたドメニコ・テデスコ率いるシャルケ。33歳の青年指揮官がシティに対してどのような策を用意してきたのか紐解いて行きたい。その鍵を握るのが能動的な5-4-1ブロックだ。圧倒的な攻撃力をもつシティに対して、受け身の守備になるのではなく攻めの守備をシャルケは実行していた。まさにこれがジャイアントキリングを可能にする鍵でもあるのだ。

シティがボールを保持している場合の配置の噛み合わせが下図の通りだ。

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まずはHV(3バックの左右)にボールが渡った時の対応を解説する。だが左HVラポルテと右HVウォーカーでシャルケの対応が違うので注意して見てほしい。

HVへの対応

左HVラポルテの場合

ここで左ウイングにスターリングがサイドに張っていることがポイントとなる。序盤からカリグリとのマッチアップでスターリングが優位に立っていたためラポルテに対してSHのケニーは外のパスコースを切りながらプレスをかける。近い選手には下図のように迎撃守備で対応する。

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右HVウォーカーの場合

 前述のラポルテの場合と大きく違うのはウォーカーにプレスをかけるSHメンディルのところ。シティの右ウイングはサイドよりも中に入ってのプレーが得意とするベルナルドであるためメンディルはベルナルドへのパスコースを切るのではなく内のデブライネへのパスコースを切りながらプレスをかける。

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ボランチへの対応  

ここからボランチへの対応を解説したいのだが、その前にプレミアリーグでよくある受け身になってシティに簡単に攻略されるパターンを2つ紹介する。

まずはパスの出し手を潰そうとしてライン間を攻略されるパターン。

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次にパスの受け手を潰そうとして最終ラインの裏を取られるパターン。

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この2パターンを潰しに行っていたのがこの試合のシャルケだ。パスの出し手、受け手に対して常に迎撃守備できていたことがシティを苦しめた大きな要因の1つである。

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 前述のように最終ラインの裏をとればいいと思う人もいると思うが、プレスを受けているフェルナンジーニョが精度の高いロングパスを出すのは困難だろう。そこで攻略法を1つ解説する。

攻略法

得点には結びつかなかったが、シルバが攻略法を見せてくれたシーンがある。それがこれだ。

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このシーンも出し手と受け手に対してはマークできていたのだが、シャルケが想定外だったのがシルバがわずかなスペースを見つけ移動してきたこと。アグエロは最終ラインを駆け引きしているのでサネがピン留めされシルバにアタックできない。マークすべきブルマはシルバにアタックしようとするも遠すぎて、上記の動画でも躊躇したことがわかる。

数回このようなシーンがあったのでできれば試合を見直してほしい。

 

すべてを無効化したエデルソンのキック

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最終的にこの試合を決めたのはエデルソンのロングキック。ここまでシャルケの細かい守備戦術を解説してきたが、これらをすべてを無効化したのが決勝点のシーンだ。シャルケの守備の形が整っていない状況だったもののボールに対してプレスをかけ、コンパクトに保つために最終ラインも上げようとしていたが、それを嘲笑うかのように無効化し得点を奪った。近年守備戦術が洗練されたチームが増えてきたからこそエデルソンのロングキックは攻撃面でもシティを助けることになりそうだ。こんなところでこの記事はおわりにします。

 

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