ネイマールやムバッペらの個をより活かしたトゥヘルの戦術【パリ・サンジェルマン対リバプール】
<スターティングメンバー>
<試合結果>
パリ・サンジェルマン2-1リバプール
13′ベルナト 37′ネイマール 46′ミルナー
パリの可変システム
1試合を通して攻撃時と守備時で大きく違っていたパリの可変システム。この試合での可変システムのキーマンは明らかにマルキーニョスだった。攻撃時には最終ラインで3バックの真ん中、守備時には4-4-2のボランチの一角として幅広くリバプールの攻撃に対応。
そこでパリの可変システムを攻撃時と守備時に分けて細かく分析してきたい。
攻撃時
◆ネイマール:アンカー(ヴェラッティ)脇に下りてビルドアップのサポート。
◆ディマリア:右サイドに開くことによりリバプールの中盤一枚をピン留め。
◆ムバッペ、カバーニ:CB-SB間にポジショニング。CB-CB間を空けておくことでPAに侵入した際、CBの背後からゴール前に飛び出すことを容易に。
この試合、左サイドに偏っていたパリの攻撃。これはトゥヘル監督が意図的に仕込んだものであり、パリの2ゴール共に左サイドから生まれたことからもわかる。
そこでポイントとなる選手がディマリア。前述したようにディマリアがリバプールの中盤の選手一枚を引きつけることで、左サイドで3対2を創出していたのだ。
上図で示した3対2のところからリバプールの守備を崩壊させていた。詳しくはこの後パリの先制点のシーンを振り返りながら分析しています。
守備時
守備の最大のポイントはマルキーニョスとヴェラッティの2ボランチの動き。リバプールの両WGにボールが渡った際、常に2対1で対応するためにSBのサポートを欠かさない。
中盤の攻防
リバプールの守備
リバプールの守備はどの試合でも基本的に変わらない。4-3-3を基盤とし、CBからSBへのパスコースをカバーシャドーで封鎖することで、中央の密集に誘導しボール奪取。時間を掛けずに前線の3トップにボールを渡してショートカウンターという流れだ。
◆サラー、マネ:CBからSBへのパスコースを切りつつ中央への誘導守備。
◆ワイナルドゥム、ミルナー:ディマリア、ネイマールに対してマンマーク。
◆ヘンダーソン:守備のバランスを取りつつ、機を見てヴェラッティへの迎撃守備。
PSGの対策
そこで、欧州でも屈指のリバプールの守備にパリはどのような対策を取ったのだろうか?
それはネイマール、ムバッペ、ヴェラッティを近くに配置し3対2の数的優位を作り出すことだった。試合を通して何度も見られたパターンを解説していく。
前述したように攻撃時のネイマールの主な役割はアンカー(ヴェラッティ)の脇に下りてビルドアップのサポート、CBのパスコースの確保。CBからSBへのパスコースをWGで封鎖するリバプールに対して中央でパスコースを確保することはリバプール攻略において大きな鍵となる。
ただ、アンカー脇に下りるネイマールに対してワイナルドゥムがしっかりついてくる場面も当然ある。その場合はムバッペがネイマールのポジションに下り、CBからネイマールを囮にするパスを引き出す。それに合わせてネイマールはムバッペを追い越すことでリバプールの中盤を置き去りに。
選手の質の高さにトゥヘルの頭脳が加わり中盤を制圧したPSG。特にネイマール、ムバッペ、ヴェラッティがより近くでプレーすることが最適解と。このトライアングルの連携は見応え十分。 pic.twitter.com/Kg98LdcrYb
— 3バックには夢がある【サッカー戦術分析ブログ】 (@tactics9320) 2018年11月29日
上記の動画を見ればここまで説明したことがよく表れていることがわかる。
さらにパリの対策が凝縮されているのが下記のパリの先制点のシーンだった。
PSGの先制点 pic.twitter.com/5E1HXh5i2J
— 3バックには夢がある【サッカー戦術分析ブログ】 (@tactics9320) 2018年11月29日
パリの追加点のシーンもどうぞ。
ネイマール、ムバッペ、カバーニの高速カウンターが炸裂し追加点! pic.twitter.com/vhVFoGFled
— 3バックには夢がある【サッカー戦術分析ブログ】 (@tactics9320) 2018年11月29日
ネイマールやムバッペらの選手の個人技が注目されるようなシーンが多かったが、その個人技をより活かしていたのは戦術だったのだ。
攻撃型DFキンペンペ
同点に追いつきたいリバプールに立ちはだかったのがキンペンペ。読みが良く、出足が早いこの選手の迎撃守備は潰すだけではなくカウンターの起点にも。 pic.twitter.com/op3gr1nSpf
— 3バックには夢がある【サッカー戦術分析ブログ】 (@tactics9320) 2018年11月29日
パリの下部組織出身からトップチームに定着できた将来期待の左利きディフェンダー。最大の武器は身体能力の高さで、188cmという体格でスピード、強さに関して申し分ない能力を備えている。また足元の技術も高くボールを繋げられ選手だ。
この試合でもリバプールの強力攻撃陣に対して落ち着いた守備を披露してくれた。今後もキンペンペに注目していこう。
おすすめ記事!!!