個の集団からチームへ【ブラジル対ベルギー】

<スターティングメンバー>

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<試合結果>

ブラジル1ー2ベルギー

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明確だったベルギーの戦略

4バックをピン留めする2トップ

2トップ(アザールとルカク)が守備時には下がらずサイドに開いた状態でカウンターに備える。これによりブラジルのSBをピン留め。SBをピン留めすることによりブラジルのCBも不用意に上がることはできなくなる。これにより2トップでブラジルの4バックをピン留めすることができていた。

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このピン留めはSBを起点に攻撃を仕掛けるブラジルのSBを封じること。そして波状攻撃のために全体で押し込みたいブラジルに躊躇させることの大きな2つのメリットがあった。

デブライネの自由化

欧州予選からデブライネはダブルボランチの一角として代表でプレーしてきた。しかしこの試合では一列ポジションを上げトップ下に。守備時にはアンカーで普段チームメイトでもあるフェルナンジーニョをマークしていた。ただ、ボランチとしてプレーしている時よりも守備のタスクが軽減したことによりプレーの自由度が増し、特にカウンターでブラジルの脅威となっていた。 

ブラジルの対抗策

守備時にベルギーが2トップを前線に残すことによって生まれるスペース。特に試合序盤、ブラジルに多くの決定機があったがそのスペースが攻撃の起点となっていた。

そのスペースが「中盤3の脇」。↓のスペースである。

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 CBがボールを持っている時に同サイドのWGが下りてくることでベルギーのプレスを回避することができ決定機につなげることができていた。

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後半の戦術変更

2点ビハインドで前半を終えたブラジル。後半開始からウィリアンを下げフィルミーノを投入、さらに後半8分にジェズスを下げドウグラスコスタを投入。この交代によりブラジルは4-4-2に。

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注目なのが左SBマルセロのポジショニング。前半はルカクに引っ張られ上がることができなかったが、左CBミランダがルカクに1人で対応できていたので後半は積極的に攻撃に参加。ただアザールはかなり脅威だったため右SBのファグネルは守備に専念。3バックに近い形であった。

 

 フィルミーノとドウグラスコスタの投入、マルセロのオーバーラップにより前半で左サイドに偏っていたブラジルの攻撃が右サイドからの攻撃も増え、幅を有効に使えていた。

逃げ切りに成功したベルギー 

76分にレナトアウグストのゴールで1点差に迫られたベルギー。 ブラジルに攻め込まれ同点にされるのは時間の問題にも思えてきた試合終盤。ここでマルティネス監督はチャドリを下げフェルメーレンを投入、4バックから5バックに戦術変更した。

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欧州予選からここまで戦ってきた形に戻したベルギーはさらに最終ラインを強固にすることで逃げ切り成功した。

 

そしてベルギーが逃げ切りに成功したベルギーのもう1つの大きな要因にアザールの存在がある。それはこの試合のアザールのスタッツ(タッチ数:63、ドリブル成功回数:10回、ドリブル成功率100%、獲得ファウル数:7回、空中戦勝利数4回、空中戦成功率100%)を見れば納得できる。試合終盤に時間を稼ぎながら好き放題キープできるアザールは相手チームにとってかなり厄介な存在である。

おわりに

 無能監督と言われることも多いマルティネス監督がこの試合では理にかなった完璧な戦略を用意したのが少し不思議だったが見事な試合だった。難敵ブラジルに勝利したベルギーは次戦、準決勝でフランスとの対戦。ウルグアイ戦ではただのエリート集団ではないと証明する試合運びで完勝したフランスにマルティネス監督はどんな戦術で戦うのだろうか。

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