「ハーフスペース」の産物
5バックの流行
前の記事でも書いてるように、現代の欧州サッカーでネガトラ(ネガティブトランジション)時は5バックにシステムを変えるチームが増えている。そして、それと関係しているのが今になって脚光を浴び始めた「ハーフスペース」。ハーフスペースの簡単な説明は前の記事を読んでほしい↓
ハーフスペースを制したチームが試合を有利に進められると言われるほど重要視されている。では、なぜ5バックブームとハーフスペースに関係があるのか。
ここでハーフスペースが重要だとわかる簡単なパターンをあげてみる。
攻撃側の選手がアタッキングサードでハーフスペースに侵入すると、守る側はその選手に誰がマークをするのか曖昧になってしまう。SB-CB間のためSBがマークをすればサイドを大きくあけてしまい、CBがマークをすれば中央にスペースを与えてしまうため守る側は、難しい選択を迫られる。ハーフスペースでボールを受けるだけで相手のディフェンスを混乱させることができるのだ。
そして、その問題の解決方法の一つが、4バックから5バックへのシステム変更。5バックにすれば、両サイドのレーン、中央のレーン、両ハーフスペースの5つのレーンを1人1レーンを担当するとして計算できるので少しは守りやすくなる。これが5バックが流行している一つの要因である。
偽サイドバック
攻撃時、サイドバックの役割は何が思いつくだろうか?オーバーラップでサイドを駆け上がりクロスまたは、WGやHSのサポートというのが1番有名だろう。しかし、中央寄りにポジションを上げアンカーやIHにポジション移動することもある。これを「偽サイドバック」と言われる戦術である。ペップがバイエルンを率いた時に使っていたシステムで有名だが、これもハーフスペースを意識した戦術である。
2CBが大きく開きアンカーが2CB間に落ち、両サイドバックはアンカーもしくはIHのポジションをとる。それによりハーフスペース、中央のレーンでは数的有利を作り出し試合を支配しやすくなる。注目なのが、SBがサイドのレーンからハーフスペースにレーン間移動をする上にポジションも上げるので相手のプレスが狂いやすくなる。実際、ドイツ代表はこの戦術を当たり前のように入れていて相手のマークがずれていることがよくある。さらに、SBのオーバーラップが少なくなるので、WGに大きなスペースを与えることができ1対1の強さを生かすことが出来るのだ。
ハーフスペースを重要視した戦術が最近増えつつある一部を紹介したが、これからさらにどのような戦術が生み出されるのか楽しみだ。