昨季とは異なるシティの偽サイドバック像【アーセナル対マンチェスターシティ】
<スターティングメンバー>
<試合結果>
アーセナル0-2マンチェスターシティ
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メンディの偽サイドバック
シティのビルドアップはコミュニティシールドのチェルシー戦とは異なっていた。チェルシー戦では昨季でもよく採用していたビルドアップ構造だったが、この試合では昨季では見られない構造のビルドアップだった。特に注目すべきなのは、メンディの偽サイドバックとその流れで形成される中盤のダイアモンド。
偽サイドバックの解説は下の記事にあります。
昨季は怪我でシーズンを棒に振ったメンディ。その数少ない出場した試合では、攻撃時に前線まで駆け上がりWGとしてプレーする役割を担っていたが、この試合では偽サイドバックとして中央でプレーする役割を与えられていた。
さらに、メンディの偽サイドバックによるポジション移動をすると、左インサイドハーフのベルナルドがよりアグエロの近くでプレーできるようにポジションを上げるように連動。
90分間通してメンディは偽サイドバックとして中央よりでプレーしたわけだが、これまでの偽サイドバックとしてプレーした選手の役割とは大きく違っていたのだ。新たな偽サイドバック像が出来上がった試合だった。
自陣でボールを繋ぎながらビルドアップしていく場面では中央でパスを引き出し、HV(3バックの両端の選手)からWGへのパスコースを開けるためのポジショニング。これは、これまでの偽サイドバックの役割と同じである。
だが、相手陣で攻撃を仕掛ける場面でこれまでの偽サイドバックとは違った。ウイングにボールが渡りサイドから攻撃を仕掛ける場面でメンディがインナーラップを仕掛けるシーンが何度かあり、ウイングをサポート、ポケットに侵入する役割を担っていたのだ。
そのメンディのインナーラップがシティの先制点を生んだ。それを振り返ろう。
クリアボールを拾ったメンディが大外に開いたスターリングにボールを預け、インナーラップでポケットへ侵入。これでスターリングのカットインスペース創出。左サイドにスターリング配置した利点が出た結果に。 pic.twitter.com/SQMw2c9Uvn
— 3バックには夢がある (@tactics9320) 2018年8月13日
この試合で2アシストしたメンディ。これまでサイドでプレーすることがほとんどで、360°からプレッシャーを受ける中央でのプレーは不慣れである。それがビルドアップ時の繋ぎの面で現れていたため、この試合でプレスの狙い所とされてボールを失う場面が多々見られた。この試合でのメンディのプレーを見てグアルディオラ監督はメンディの偽サイドバックをどう感じたのか。これからのメンディの起用法を見れば自然とわかってくるだろう。
個人的には、もう少し辛抱してメンディを偽サイドバックで起用してほしい。と言うのも、サネとメンディの共存、メンディのタスク過多を改善ができるから。
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代えのきかないウォーカーの役割
現在のシティのスカッドで最も代えのきかない存在なのがウォーカーだ。攻守に渡る貢献度は計り知れず、負傷離脱する事態となれば大きな痛手となるだろう。そのウォーカーの役割を解説したい。
前述で使った図で分かるように、自陣からのビルドアップ時にはウォーカーは 3バックの右HVとなり最終ラインで組み立てに参加する。大きな役割は今、説明したビルドアップ時の組み立てに参加すること。
だが、もう1つウォーカーは重要な役割を担っている。それが右WGのマフレズがドリブルを仕掛ける場面や前線にスペースを見つけたときに最終ラインから前線まで駆け上がり攻撃のサポートをすることである。
この試合の1シーンを取り上げて見ました。
ビルドアップ時には3バックの右で賢くプレーしてるにも関わらず、前線にスペースを見つけるとタイミングの良いオーバーラップを仕掛けるウォーカー。攻守に渡って機能するこの選手の貢献度は計り知れない。 pic.twitter.com/YtLgU2hHm8
— 3バックには夢がある (@tactics9320) 2018年8月13日
この2つの役割を担える選手は世界中を探しても他にいない。現代サッカーの要求される技術、IQを持ち合わせてる上に、スプリング能力とフィジカルを兼ね備えているウォーカーは間違いなくシティで最も代えのきかない選手だ。
前線と後方が分裂するアーセナル
シティに結果的に完敗となったアーセナルは、どこに問題点があったのだろうか。それは前線と後方の選手が分裂し、中央に大きなスペースをシティに与えてしまっていたことだった。この試合、アーセナルはシティのビルドアップに対して積極的に前線からハイプレスをはめようとしていた。ただ、そのハイプレスに後方の選手の連動が皆無。前線のハイプレスを剥がすことができれば、シティは簡単に決定的なシーンまで持っていくことができていたのだ。その問題がシティの2点目を生むことになってしまったことも事実で試合中に修正されることはなかった。
シティの追加点のシーン。アーセナルの前線からのプレスに後方の選手が付いてこれず中盤に大きなスペースをシティに与えることに。1点目とは違い、オーバーラップでポケットに侵入したメンディを使ったスターリング。そしてメンディのマイナスクロスにうまく合わせた今季覚醒予感のベルナルド。 pic.twitter.com/hAyJbiekVq
— 3バックには夢がある (@tactics9320) 2018年8月13日
この問題点の解決方法として、4-2-3-1の布陣の2の部分。2ボランチの組み合わせを変える必要があるだろう。ボールプレーを得意とするゲンドゥージとジャカの組み合わせだったこの試合は、中盤のフィルターが全く機能しなかった。
そこで今夏の移籍市場で獲ったウルグアイ代表のトレイラをどちらかと組むといいだろう。体格は大きくないが、守備で戦えて危険なスペースをカバーする能力がある選手だ。
次節チェルシーとのロンドンダービーに臨むアーセナルは、この試合の内容、結果を受けてどのような布陣を敷くのか注目だ。
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おわりに
プレミアリーグ連覇に向けていいスタートを切ったシティ。ただ、この試合の数日後の練習中に負傷し、デブライネは3ヶ月の離脱することに。大きな痛手であることは間違いないが、カバーできるだけの選手層があるシティであれば乗り越えられるだろう。アーセナルは細かい戦術面を浸透させるのにもう少し時間が必要かなと感じる試合だった。
おまけであるが、試合後のグアルディオラ監督のコメントが話題になっていたので載せておきます。
グアルディオラ監督「メンディは、メンディだよ。時々殺したくなるときもあるし、何て良い選手なんだと思うときもある。彼は、チームにエナジーを与えてくれる。向上の余地はあるね。SNSのことを少し忘れるように説得して、いくつか向上すべき点があるね」
— Manchester City (@ManCityJP) 2018年8月12日